俺の一日☆ 後編
「ぶはははははははは!人を扱き使うからだ!ばーかばーか!」
思わず吹き出してしまった。
その様子を先輩達は呆れた様子で眺めている。
「まーた始まったね、大和と時雄の喧嘩」
「…そうですね」
「仲良くすればいいのにねぇ、せっかく年が近いんだし」
「……そうですね」
午前10:30 作業再開
30分休憩をとったら、お昼まで頑張るぞー!
さっきの時雄とのあれこれで全然休んだ気がしないけど、それは仕方ない!
「おーい、大和~続きやるよ~」
「はい!」
午後12:00 お昼休憩
12時になったら、待ちに待ったお昼ーー!!
コンビニでカップラーメンでも買ってこようかな…てえぇぇぇえ!!
「あ、こ、小守先輩…?」
「ん?なに~?大和」
そう言って首を傾げる小守先輩の手にはコンデンスミルク。
そう、あのイチゴとかによくかけるやつだ。牛のイラストの…。
それをチューブごとちゅーちゅー吸うというビックリな光景…。
俺の視線に気付いたのか、小守先輩は吸うのを止めてにへらっと笑った。
「ああ、これ?俺すごく甘いの好きなんだよね~だから週3日のペースでお昼はコンデンスミルクにしてるんだ~」
「あ、ああ!そ、そうなんですね!」
週3日って結構なペースだぞ!甘党にも程がある…。
そんな小守先輩はさておき、俺は近くのコンビニに向かった。
温かいカップラーメンで午後も頑張るぞ~。
「くそ大和…さっきはよくもやってくれたな」
「うげっ、時雄!」
カップラーメンにお湯を注いでいると、にやりと怪しい笑みを浮かべた時雄が隣に立っていた。
がしっと時雄の手が買ってあった俺のコーラを掴む。
「ま、まさか…!時雄やめろ!」
「悪いな…やられたらやり返すが俺のポリシーでな…」
次の瞬間、思い切り上下に振られるコーラ。ガシャガシャと、時雄の手は止まることを知らない。
「や、やめろ!こんな…こんなことしたら…開けるときに覚悟が必要になるだろぉぉぉ!」
「ざまぁみろ!仕返しだばーか!!」
「地味な仕返ししてんじゃねぇよ!」
「うるせぇよ!俺は確実にじわじわ相手を攻めてくタイプなんだよぉ!」
必死に時雄を止めようとしている最中、俺は見てしまった。
コンビニに入ってくる職長の姿を…。
ぴんぽーん♪と入店を知らせる音が鳴り響く。
「お前ら…うるさいぞ。コンビニでぎゃあぎゃあ騒ぐな。人の迷惑になるだろーが」
職長の言葉に、さすがの時雄も俺のコーラを振るのを止めた。
時雄をよく見ると目が死んでいる。
「「す、すみませんでした!」」
「おう、分かったら戻ってさっさと食え。時間なくなっても知らねぇぞ」
「「はい…」」
時雄と現場まで戻ると、まだ皆追々に休憩を取っていた。
「なぁんだ、まだ全然時間も余裕じゃん。職長ったらビックリさせて」
そう安心しきって、時雄が振っていたのも忘れてコーラを開けた。たちまち溢れ出してビショビショになった。
午後1:00 午後の作業開始
「大和…」
大神先輩に手招きをされて急いで駆け寄る。
「なんでしょう!」
「これ…手伝って。俺一人じゃ無理」
「承知です!」
「大和ズボン濡れてるけど…どうしたの?」
「ああ、これは時雄にやられて、コーラ吹き零しました」
「そう、なんだ…」
暫し俺をジーと見る大神先輩に、首を傾げていると、大神先輩が瞳を伏せた。
「…アリ、登ってそうだね」
午後3:00 小休憩
午後の残りの時間のラストスパートをかけるために、ここで30分の休憩をとるよ!
時雄に仕返ししてやりたいところだけど、職長がまた喧嘩しないか俺達を見てるから無理っぽいや。
「はいはい~、コーヒー牛乳買ってきてあげたから喧嘩しないんだよ~?二人とも」
そう言って小守先輩が俺と時雄の分のコーヒー牛乳を手渡してくれた。
「せ、先輩!ありがとうございまっす!」
俺が瞳を輝かせてぺこりと頭を下げると「わんちゃんみたいだね~可愛い~」だなんて言っていた。
さすが甘党の小守先輩が買ってきたコーヒー牛乳。甘くて飲みやすい。
時雄も今回は甘いものを飲めてご機嫌そうだった。
午後3:30 作業再開
よーし!ラストスパート!気を抜かないで頑張るぞ~!
さっきまで手を付けていた作業を大神先輩と一緒に進めていく。
相変わらずそこまで会話はないが、仕事はスムーズだ。
午後5:30 片付け
明日も気持ち良く作業ができるように現場の片付けをするよ!
「おい、大和。俺とお前どっちが早く綺麗にできるか勝負だコラ」
「おう!受けて立とうじゃないか!」
そう言って箒を持つ俺達の間に、大神先輩が割って入ってきた。
「喧嘩だめ…、片付け真面目にやれって、職長が言ってる」
そう言うと、大神先輩の瞳がギラリと光ったような気がした。
要するに、ちゃんとやって、ちゃんと終わらせるぞってことなんだろう。
「「は、はい」」
言われた通り、箒で床を真面目に掃く。
時雄が心なしか競ってきているように感じるが気のせいだろうか。
午後5:45 作業終了
「「「「お疲れ様でした!」」」」
これで今日の作業はおしまい。あとは小守先輩と寮に帰るよ!
帰りも安全運転で帰ります!…運転するの俺じゃないけど。
「大和も早く免許取りなね~」
「はい!あとちょっとなので頑張ります!」
「そうなの?どんな感じ?」
「えーっとですね、今第一段階のみきわめです!」
「まだまだじゃぁん!てっきり二段階まで行ってるのかと思ったよ俺」
そんなこんなで寮に到着。それにしても、免許まだまだだったのか…知らなかった…。
午後6:45 帰宅
「今日も一日お疲れだねー」
「お疲れ様です!」
2人で寛ぎながら、お風呂が沸くのを待ちます。ご飯は適当に各自作ります。
まぁ、一日の流れ的にこんな感じかな。みんなに伝わってるといいんだけど…。
ちなみに現場によって多少のズレはあるよ!でも基本的にはみんなで楽しくやってます!
「そういや大和って彼女いるの~?」
「えっ!なんですか急に」
「いやー、今どきの若い子ってどうなんだろうって疑問に思って」
こ、小守先輩…今どきの若い子って、自分自身もまだまだ若いじゃないですか…。
「いや、いませんよ~なかなか難しいですって」
「え~?その気になれば作れるでしょ~」
確かに、彼女とかそういうの、興味がないわけじゃない。
いればいいと思うし、出来たら普通に幸せを感じると思う。
だけど、多分実際にできたら焦る。もの凄く。どうしたらいいか分からないし。
「いえ、俺は萌えっこ型☆枠ちゃんが嫁なので。まだ大丈夫です(キリッ)」
「あ~ね…うんうん…」
小守先輩の視線が逸れていくのを感じた。
「お兄ちゃん!朝だよ~?起きて起きて☆」
こうして今日も、新しい一日が始まる!
FIN.