東京都足立区の建設会社、大和工務店

俺の一日☆ 後編

2016/08/05

「ぶはははははははは!人を扱き使うからだ!ばーかばーか!」

思わず吹き出してしまった。

その様子を先輩達は呆れた様子で眺めている。

「まーた始まったね、大和と時雄の喧嘩」

「…そうですね」

「仲良くすればいいのにねぇ、せっかく年が近いんだし」

「……そうですね」

 

午前10:30 作業再開

30分休憩をとったら、お昼まで頑張るぞー!

さっきの時雄とのあれこれで全然休んだ気がしないけど、それは仕方ない!

「おーい、大和~続きやるよ~」

「はい!」

 

午後12:00 お昼休憩

12時になったら、待ちに待ったお昼ーー!!

コンビニでカップラーメンでも買ってこようかな…てえぇぇぇえ!!

「あ、こ、小守先輩…?」

「ん?なに~?大和」

そう言って首を傾げる小守先輩の手にはコンデンスミルク。

そう、あのイチゴとかによくかけるやつだ。牛のイラストの…。

それをチューブごとちゅーちゅー吸うというビックリな光景…。

俺の視線に気付いたのか、小守先輩は吸うのを止めてにへらっと笑った。

「ああ、これ?俺すごく甘いの好きなんだよね~だから週3日のペースでお昼はコンデンスミルクにしてるんだ~」

「あ、ああ!そ、そうなんですね!」

週3日って結構なペースだぞ!甘党にも程がある…。

 

そんな小守先輩はさておき、俺は近くのコンビニに向かった。

温かいカップラーメンで午後も頑張るぞ~。

「くそ大和…さっきはよくもやってくれたな」

「うげっ、時雄!」

カップラーメンにお湯を注いでいると、にやりと怪しい笑みを浮かべた時雄が隣に立っていた。

がしっと時雄の手が買ってあった俺のコーラを掴む。

「ま、まさか…!時雄やめろ!」

「悪いな…やられたらやり返すが俺のポリシーでな…」

次の瞬間、思い切り上下に振られるコーラ。ガシャガシャと、時雄の手は止まることを知らない。

「や、やめろ!こんな…こんなことしたら…開けるときに覚悟が必要になるだろぉぉぉ!」

「ざまぁみろ!仕返しだばーか!!」

「地味な仕返ししてんじゃねぇよ!」

「うるせぇよ!俺は確実にじわじわ相手を攻めてくタイプなんだよぉ!」

必死に時雄を止めようとしている最中、俺は見てしまった。

コンビニに入ってくる職長の姿を…。

ぴんぽーん♪と入店を知らせる音が鳴り響く。

 

「お前ら…うるさいぞ。コンビニでぎゃあぎゃあ騒ぐな。人の迷惑になるだろーが」

職長の言葉に、さすがの時雄も俺のコーラを振るのを止めた。

時雄をよく見ると目が死んでいる。

「「す、すみませんでした!」」

「おう、分かったら戻ってさっさと食え。時間なくなっても知らねぇぞ」

「「はい…」」

 

時雄と現場まで戻ると、まだ皆追々に休憩を取っていた。

「なぁんだ、まだ全然時間も余裕じゃん。職長ったらビックリさせて」

そう安心しきって、時雄が振っていたのも忘れてコーラを開けた。たちまち溢れ出してビショビショになった。

 

午後1:00 午後の作業開始

「大和…」

大神先輩に手招きをされて急いで駆け寄る。

「なんでしょう!」

「これ…手伝って。俺一人じゃ無理」

「承知です!」

「大和ズボン濡れてるけど…どうしたの?」

「ああ、これは時雄にやられて、コーラ吹き零しました」

「そう、なんだ…」

暫し俺をジーと見る大神先輩に、首を傾げていると、大神先輩が瞳を伏せた。

「…アリ、登ってそうだね」

 

午後3:00 小休憩

午後の残りの時間のラストスパートをかけるために、ここで30分の休憩をとるよ!

時雄に仕返ししてやりたいところだけど、職長がまた喧嘩しないか俺達を見てるから無理っぽいや。

「はいはい~、コーヒー牛乳買ってきてあげたから喧嘩しないんだよ~?二人とも」

そう言って小守先輩が俺と時雄の分のコーヒー牛乳を手渡してくれた。

「せ、先輩!ありがとうございまっす!」

俺が瞳を輝かせてぺこりと頭を下げると「わんちゃんみたいだね~可愛い~」だなんて言っていた。

さすが甘党の小守先輩が買ってきたコーヒー牛乳。甘くて飲みやすい。

時雄も今回は甘いものを飲めてご機嫌そうだった。

 

午後3:30 作業再開

よーし!ラストスパート!気を抜かないで頑張るぞ~!

さっきまで手を付けていた作業を大神先輩と一緒に進めていく。

相変わらずそこまで会話はないが、仕事はスムーズだ。

 

午後5:30 片付け

明日も気持ち良く作業ができるように現場の片付けをするよ!

「おい、大和。俺とお前どっちが早く綺麗にできるか勝負だコラ」

「おう!受けて立とうじゃないか!」

そう言って箒を持つ俺達の間に、大神先輩が割って入ってきた。

「喧嘩だめ…、片付け真面目にやれって、職長が言ってる」

そう言うと、大神先輩の瞳がギラリと光ったような気がした。

要するに、ちゃんとやって、ちゃんと終わらせるぞってことなんだろう。

「「は、はい」」

言われた通り、箒で床を真面目に掃く。

時雄が心なしか競ってきているように感じるが気のせいだろうか。

 

午後5:45 作業終了

「「「「お疲れ様でした!」」」」

これで今日の作業はおしまい。あとは小守先輩と寮に帰るよ!

帰りも安全運転で帰ります!…運転するの俺じゃないけど。

「大和も早く免許取りなね~」

「はい!あとちょっとなので頑張ります!」

「そうなの?どんな感じ?」

「えーっとですね、今第一段階のみきわめです!」

「まだまだじゃぁん!てっきり二段階まで行ってるのかと思ったよ俺」

そんなこんなで寮に到着。それにしても、免許まだまだだったのか…知らなかった…。

 

午後6:45 帰宅

「今日も一日お疲れだねー」

「お疲れ様です!」

2人で寛ぎながら、お風呂が沸くのを待ちます。ご飯は適当に各自作ります。

まぁ、一日の流れ的にこんな感じかな。みんなに伝わってるといいんだけど…。

ちなみに現場によって多少のズレはあるよ!でも基本的にはみんなで楽しくやってます!

「そういや大和って彼女いるの~?」

「えっ!なんですか急に」

「いやー、今どきの若い子ってどうなんだろうって疑問に思って」

こ、小守先輩…今どきの若い子って、自分自身もまだまだ若いじゃないですか…。

「いや、いませんよ~なかなか難しいですって」

「え~?その気になれば作れるでしょ~」

確かに、彼女とかそういうの、興味がないわけじゃない。

いればいいと思うし、出来たら普通に幸せを感じると思う。

だけど、多分実際にできたら焦る。もの凄く。どうしたらいいか分からないし。

 

「いえ、俺は萌えっこ型☆枠ちゃんが嫁なので。まだ大丈夫です(キリッ)」

「あ~ね…うんうん…」

 

小守先輩の視線が逸れていくのを感じた。

 

 

「お兄ちゃん!朝だよ~?起きて起きて☆」

 

こうして今日も、新しい一日が始まる!

 

 

 

FIN.