東京都足立区の建設会社、大和工務店

俺の一日☆ 前編

2016/08/05

大館 マタギ(42) 180cm 名前の由来は秋田犬から。1973年生まれ

大和の現場の職長。普段は物静かだが、内に熱いものを秘めている。

基本的に若者は静かに見守るスタンスだが、間違ったことや道に進んだときは結構きつく叱るらしい。

一人一人をよく見ており、優れた身体能力と力を持つ人。

 

新潟 時雄(20)165cm 名前の由来はトキから。1995年生まれ

大和の現場の一個上の先輩。大和より一年早く大和工務店に就職した。

オシャレさんで所謂ファッションリーダー。小柄なためか先輩としての威厳がないからか、大和に等身大の付き合いをされている。

何かと大和と張り合うので、好敵手とも言える。

 

大神 一狼(26)174cm 名前の由来は二ホンオオカミから。1989年生まれ

大和の現場の先輩。クールで何を考えているのかよく分からないと言われてしまうタイプ。

内向的で一人でいるのを好む。本人曰く「仕事上の伝達事項はちゃんと伝えてるし、別にいいでしょ」とのこと。料理が得意。

 

小守 闇紀(30)178cm 名前の由来はオキナワオオコウモリから。1985年生まれ

大和の現場の先輩。ちらりと見える八重歯が特徴。甘いものが好きで、コンデンスミルクをチューブごと吸うほどである。職長を除けば最年長者であるが、童顔に加えあまりしっかりしていない性格のため、その事実は忘れられがち。

 

 

俺、型枠大和!19歳、型枠大工歴は…まだ一年ちょい。

高校を卒業して、一人前の型枠大工に…!職人になりたくて上京してきた!

 

今回は、そんな俺の一日を紹介するな!

 

午前5:30 起床

「お兄ちゃん!朝だよ~?起きて起きて☆」

萌えっこアニメの型☆枠ちゃんのボイスで起床!

「大和…そのアラームなんなのぉ…」

ちなみに俺は寮なので、一緒に寝てる小守先輩もこの萌えっこ型☆枠ちゃんのボイスで起きちゃいます!

「あ、はは…すんません…」

頭を抱える先輩と一緒に身支度開始!って言ってもわりとすぐ終わるけどね。

 

午前6:15 出社

社宅から現場までyamatoのロゴ入りの車で向かうよ!

近所の人からも黒くて綺麗な車だって評判なんだ!

「今日もうちの車は綺麗っすねーー!」

「近所迷惑でしょ~大和~今早朝なんだから」

「す、すんません!」

というわけで!行ってきます!

 

午前7:10 現場到着

「おはようございまーす!」

元気よく挨拶し現場に降り立つと、現場の空気にドキドキワクワクする!

「今日も頑張るぞー!!」

「相変わらず騒がしいなクソ大和」

そう言って俺を小突いてきたのは新潟 時雄。クソチビだ。くそ小っちゃい先輩です。

「なんだと!チビ時雄!チビ雄!」

「最近のスマホだって小さいだろ?無駄を省いた身長なんだよ!バーカ!」

「…お前ら、現場は遊び場じゃねぇんだぞ?」

 

~しばらくお待ちください~

 

「お前のせいで職長に怒られたじゃねーか」

「だいたいお前がいつも突っかかってくるから」

そう言って互いに睨みをきかせる俺達に、再び職長が歩み寄ってきた。

「「すみませんでした」」

「おう、分かればいい。今日も気張って行くぞ」

―朝食―

現場に着いたら、朝食を食べる!

朝を抜くと頭が働かなくなるから、しっかり食べないとな!

「お弁当を作ってくれる優しい彼女…どっかに落ちてないかなぁ」

―大和の弁当 一面のり弁―

それに比べて…大神先輩のお弁当は…

―大神の弁当 色とりどりの可愛い弁当―

「…なに、大和」

俺の視線に気付いたのか大神先輩が怪訝そうに首を傾げてきた。

「大神先輩羨ましいです!自分もそんな綺麗なお弁当作ってくれる彼女欲しいです!」

「……ああ、これ?」

大神先輩は暫しポカンとした後、自分の弁当を見て気付いたかのようにピクッと反応した。

「これ、俺が自分で作ってる。彼女じゃない」

「マジっすかーーーー!!」

「…うるさい」

衝撃的な出来事に思わずガタッと席を立って声を上げると、大神先輩は両手で耳を塞いで俺を見た。

「す、すみません。あ、あの!」

「…なに」

「毎日とは言いません!たまに、俺のお弁当も作ってくれませんか!」

先輩にこんなお願いは失礼かもしれない。でも、俺もたまにはちゃんとしたお弁当食べたい!

俺がジッと見ると、大神先輩はゆっくりと口を開いた。

 

「え…普通に嫌だけど」

 

アッサリ!!

そんな俺を遠いところで指差して笑っている時雄の姿が見えた。

時雄のやつ、絶対許さない。

 

午前8:00 朝礼

「よし、全員揃ったな。まずは、今日の流れの確認だ、いいな?」

職長を中心にして、朝礼が始まる。

一日の流れの確認と、危険場所の確認と、作業の確認だ!

ここでの話は真剣に、よく聞いておかないと事故に繋がる恐れがあるから、みんな真剣だ。

もちろん俺も。このときばかりは時雄も突っかかってこない。

 

「よし、確認はこれで以上だ。今日も一日頑張るぞ」

「「「「おーー!!」」」」

 

午前8:30 朝の作業開始

「あ、小守さ…先輩!俺も手伝います!」

小守先輩は、俺より11歳も年上の先輩だ。

でも凄く童顔だから、俺と大して変わらないように見えるんだよなぁ。

「ありがと~大和、助かるよ」

そんでこのほんわかスマイル。先輩だと言うことを忘れてしまいそうなスマイル。

「い、いえ!お、思う存分扱き使ってください!」

「へぇえ!?そ、そんなことしないよ~!」

わたわたする小守先輩と作業を進めていると、大神先輩が走ってくるのが見えた。

「…大和」

「あ、はい!」

「そこ、朝礼でも確認したけど危険だから慎重に…って職長が」

「わかりました!ありがとうございます!」

「…それだけ…」

そう言うと再び大神先輩は去って行った。

「一狼ももうちょっと皆と打ち解けられたらなぁ」

小守先輩の言葉に、去って行く大神先輩を見た。

確かに、大神先輩が誰かと楽しそうに話してるの見たことないな…。

「でもちょっと不器用なだけで、一狼は皆と仲良くしたくないわけじゃないんだ。誤解しないでね、大和」

「はい!」

「あ、そっちお願いね~」

「承知です!」

 

午前10:00 小休憩

10時になったら、集中力を持続させるために小休憩をとる!

これは現場とかにもよるかもしれないけど、テントもあって結構快適なんだよね!

「おい、大和コーヒー買ってこい」

せっかく寛いでいたのに、チビ時雄が俺に命令してきやがった。

「嫌だね!自分で買えよ!」

「おいおい、俺はお前の先輩なんですけど?コラ」

「…チッ、くっそ」

そう、先輩。認めたくないがこのチビ新潟時雄は俺の先輩だ。

渋々近くの自販機に向かい、二人分のコーヒーを買う。

俺のはマイルドなカフェオレ。時雄くんのは…まぁ、お楽しみだ。

 

「はい、買ってきましたよっと」

「おう、ご苦労。後輩君よ」

本当ムカつく奴だな…。そう思いながら俺は自分のカフェオレを一口飲む。

うん、ミルクが程良くて美味しい。

ちらりと時雄の方を見ると、缶コーヒーを握ったまま固まっていた。

「お前…大和!!俺にブラック買ってきやがったなぁ!?」

見ると、若干顔が青褪めている。

 

 

 

後編へ続く