俺の一日☆ 前編
大館 マタギ(42) 180cm 名前の由来は秋田犬から。1973年生まれ
大和の現場の職長。普段は物静かだが、内に熱いものを秘めている。
基本的に若者は静かに見守るスタンスだが、間違ったことや道に進んだときは結構きつく叱るらしい。
一人一人をよく見ており、優れた身体能力と力を持つ人。
新潟 時雄(20)165cm 名前の由来はトキから。1995年生まれ
大和の現場の一個上の先輩。大和より一年早く大和工務店に就職した。
オシャレさんで所謂ファッションリーダー。小柄なためか先輩としての威厳がないからか、大和に等身大の付き合いをされている。
何かと大和と張り合うので、好敵手とも言える。
大神 一狼(26)174cm 名前の由来は二ホンオオカミから。1989年生まれ
大和の現場の先輩。クールで何を考えているのかよく分からないと言われてしまうタイプ。
内向的で一人でいるのを好む。本人曰く「仕事上の伝達事項はちゃんと伝えてるし、別にいいでしょ」とのこと。料理が得意。
小守 闇紀(30)178cm 名前の由来はオキナワオオコウモリから。1985年生まれ
大和の現場の先輩。ちらりと見える八重歯が特徴。甘いものが好きで、コンデンスミルクをチューブごと吸うほどである。職長を除けば最年長者であるが、童顔に加えあまりしっかりしていない性格のため、その事実は忘れられがち。
俺、型枠大和!19歳、型枠大工歴は…まだ一年ちょい。
高校を卒業して、一人前の型枠大工に…!職人になりたくて上京してきた!
今回は、そんな俺の一日を紹介するな!
午前5:30 起床
「お兄ちゃん!朝だよ~?起きて起きて☆」
萌えっこアニメの型☆枠ちゃんのボイスで起床!
「大和…そのアラームなんなのぉ…」
ちなみに俺は寮なので、一緒に寝てる小守先輩もこの萌えっこ型☆枠ちゃんのボイスで起きちゃいます!
「あ、はは…すんません…」
頭を抱える先輩と一緒に身支度開始!って言ってもわりとすぐ終わるけどね。
午前6:15 出社
社宅から現場までyamatoのロゴ入りの車で向かうよ!
近所の人からも黒くて綺麗な車だって評判なんだ!
「今日もうちの車は綺麗っすねーー!」
「近所迷惑でしょ~大和~今早朝なんだから」
「す、すんません!」
というわけで!行ってきます!
午前7:10 現場到着
「おはようございまーす!」
元気よく挨拶し現場に降り立つと、現場の空気にドキドキワクワクする!
「今日も頑張るぞー!!」
「相変わらず騒がしいなクソ大和」
そう言って俺を小突いてきたのは新潟 時雄。クソチビだ。くそ小っちゃい先輩です。
「なんだと!チビ時雄!チビ雄!」
「最近のスマホだって小さいだろ?無駄を省いた身長なんだよ!バーカ!」
「…お前ら、現場は遊び場じゃねぇんだぞ?」
~しばらくお待ちください~
「お前のせいで職長に怒られたじゃねーか」
「だいたいお前がいつも突っかかってくるから」
そう言って互いに睨みをきかせる俺達に、再び職長が歩み寄ってきた。
「「すみませんでした」」
「おう、分かればいい。今日も気張って行くぞ」
―朝食―
現場に着いたら、朝食を食べる!
朝を抜くと頭が働かなくなるから、しっかり食べないとな!
「お弁当を作ってくれる優しい彼女…どっかに落ちてないかなぁ」
―大和の弁当 一面のり弁―
それに比べて…大神先輩のお弁当は…
―大神の弁当 色とりどりの可愛い弁当―
「…なに、大和」
俺の視線に気付いたのか大神先輩が怪訝そうに首を傾げてきた。
「大神先輩羨ましいです!自分もそんな綺麗なお弁当作ってくれる彼女欲しいです!」
「……ああ、これ?」
大神先輩は暫しポカンとした後、自分の弁当を見て気付いたかのようにピクッと反応した。
「これ、俺が自分で作ってる。彼女じゃない」
「マジっすかーーーー!!」
「…うるさい」
衝撃的な出来事に思わずガタッと席を立って声を上げると、大神先輩は両手で耳を塞いで俺を見た。
「す、すみません。あ、あの!」
「…なに」
「毎日とは言いません!たまに、俺のお弁当も作ってくれませんか!」
先輩にこんなお願いは失礼かもしれない。でも、俺もたまにはちゃんとしたお弁当食べたい!
俺がジッと見ると、大神先輩はゆっくりと口を開いた。
「え…普通に嫌だけど」
アッサリ!!
そんな俺を遠いところで指差して笑っている時雄の姿が見えた。
時雄のやつ、絶対許さない。
午前8:00 朝礼
「よし、全員揃ったな。まずは、今日の流れの確認だ、いいな?」
職長を中心にして、朝礼が始まる。
一日の流れの確認と、危険場所の確認と、作業の確認だ!
ここでの話は真剣に、よく聞いておかないと事故に繋がる恐れがあるから、みんな真剣だ。
もちろん俺も。このときばかりは時雄も突っかかってこない。
「よし、確認はこれで以上だ。今日も一日頑張るぞ」
「「「「おーー!!」」」」
午前8:30 朝の作業開始
「あ、小守さ…先輩!俺も手伝います!」
小守先輩は、俺より11歳も年上の先輩だ。
でも凄く童顔だから、俺と大して変わらないように見えるんだよなぁ。
「ありがと~大和、助かるよ」
そんでこのほんわかスマイル。先輩だと言うことを忘れてしまいそうなスマイル。
「い、いえ!お、思う存分扱き使ってください!」
「へぇえ!?そ、そんなことしないよ~!」
わたわたする小守先輩と作業を進めていると、大神先輩が走ってくるのが見えた。
「…大和」
「あ、はい!」
「そこ、朝礼でも確認したけど危険だから慎重に…って職長が」
「わかりました!ありがとうございます!」
「…それだけ…」
そう言うと再び大神先輩は去って行った。
「一狼ももうちょっと皆と打ち解けられたらなぁ」
小守先輩の言葉に、去って行く大神先輩を見た。
確かに、大神先輩が誰かと楽しそうに話してるの見たことないな…。
「でもちょっと不器用なだけで、一狼は皆と仲良くしたくないわけじゃないんだ。誤解しないでね、大和」
「はい!」
「あ、そっちお願いね~」
「承知です!」
午前10:00 小休憩
10時になったら、集中力を持続させるために小休憩をとる!
これは現場とかにもよるかもしれないけど、テントもあって結構快適なんだよね!
「おい、大和コーヒー買ってこい」
せっかく寛いでいたのに、チビ時雄が俺に命令してきやがった。
「嫌だね!自分で買えよ!」
「おいおい、俺はお前の先輩なんですけど?コラ」
「…チッ、くっそ」
そう、先輩。認めたくないがこのチビ新潟時雄は俺の先輩だ。
渋々近くの自販機に向かい、二人分のコーヒーを買う。
俺のはマイルドなカフェオレ。時雄くんのは…まぁ、お楽しみだ。
「はい、買ってきましたよっと」
「おう、ご苦労。後輩君よ」
本当ムカつく奴だな…。そう思いながら俺は自分のカフェオレを一口飲む。
うん、ミルクが程良くて美味しい。
ちらりと時雄の方を見ると、缶コーヒーを握ったまま固まっていた。
「お前…大和!!俺にブラック買ってきやがったなぁ!?」
見ると、若干顔が青褪めている。
後編へ続く