型枠大工の道具について Episode2
赤=型枠 大和のセリフ
ピンク=ラフィネスのセリフ
「さて、じゃあ型枠建込の時に使う道具について説明しようかな」
「待ってたですよ!」
「前回から引き続き、墨壺と差し金、鋸、電気ドリルは必要だよ」
「はい!」
男の人は、意気揚々と言うと、早速またしても馴染みのある道具を手に取りました。
「まずは、ハンマー。釘を打ったり、土を削ったりするときに使うよ。持つ所が木製の軽量のやつと、金属の重量感のあるタイプの2タイプあるんだけど、慣れるまでは普通に金属製のやつを使った方が良いかな。軽量タイプだと、初心者はうまく釘が打てなかったりするからね。」
「なるほどです!」
「そして、これはバール。釘を抜いたり、パネルを持ち上げたりで使うよ。小さいバールもあるんだけど、それはセパを回すことができて便利なんだ」
「せぱ?」
「セパレーターの略だよ。型枠を固定するはがね鋼材のことかな。」
「おぉ…」
見た感じ、私と大して歳が変わらなさそうに見えますが…色々知ってて凄いです。
「こっちは番線カッター。その名の通り、番線や釘を切るのに使うよ。これはね、柄が赤いタイプと青いタイプがあるんだ。さぁ、なぜでしょう?」
突然の問題に頭が回りません。見た目は赤いものも青いものも同じに見えますが…。
「こ、好みですね!」
「残念、これにはちゃんと意味があって、赤いタイプの方が値段が安いんだ」
「じゃあ、赤いやつの方が良いですね」
「でも角度がついていないから…、釘なんかを際で切れないんだよね。だから大体の人は青い柄のやつを使っているかな」
「勉強になります!」
「そして、これがスケール。寸法を測るのに使うよ。タイプによって色々違うんだけど、裏表に寸法が書いてあるやつとか、ボタンを押すと戻ってくるやつとか。尺表示のスケールもあるみたいなんだけど、普段あんまり使わないかな。錆びたりして壊れることがあるから、定期的に買い替えるのが理想かも。」
「ほうほう…」
本当に嫌な顔一つせずに教えてくれている男の人に感心しました。
この人は本当に、型枠大工の仕事が好きなんですね。
「フォームタイ廻し!フォームタイってなにかって言うと、コンクリートの型枠を、一定の間隔に保って通りを良くするための金物なんだ。フォームタイ廻しは、そのフォームタイを回して固定するものだよ」
「なるほどです!」
「こっちはクランク廻し。クランクって言うのは、部材を固定する工具のことだよ。クランク廻しはそのクランクを回して固定する道具だよ」
「色々な道具があるのですね~」
「そして、これは下げ振り。垂直を調べるための道具で、吊り下げる糸付きの重りだよ。垂球とも言うね。」
「フォークリフトも使うんだけど…、ここでは説明できないから止めておくね!」
「了解です!」
「建込に使う道具はこんな感じかな。次回は解体する時に使う道具を説明するよ」
3話に続く